みんながやっていると聞くとインスタもやらないといけないと思うし、ブログも書かないといけない。広告もださないといけない。セミナーもやらないといけない。そんなふうにとりあえず何でもやってみたけど、いまいちこれといった成果が出ない。知人と同じ方法を試してみたけどうまくいかない。そんな経験がある方もいるのではないでしょうか。ブログもSNSも、お客様との接点になるものはすべてメディア(媒体)です。そういう意味では前回書いたノベルティもメディアといえるでしょう。「どんなメディアを使って」「どんなことを伝えるか」、これがマーケティングの基本です。なのでセミナーや本などでは適切なメディアに適切に情報を発信しましょうと教わるわけですが、みんなそんなことはわかっています。どういうものが適切かわからないから困っているわけですね。なぜ難しいかというと、扱っている商品の性質によって、どんなメディアが向いているかもどんなメッセージを伝えるのが効果的かもぜんぜん違ってきます。なのですべてのビジネスに使える魔法の方法はないわけですから、はいそこは自分で考えてくださいねーということになって誰も教えてはくれません。今回は自分のビジネスでどんなマーケティングの手段がふさわしいかについて考えるための、3つのヒントを紹介したいと思います。
まあこれは大体わかると思いますが、ビジネス向けと消費者向けとでは商品の性質も購入のためのプロセスもぜんぜん違います。ビジネス向けでは一般的に次のようになります。
なのであまり興味のなさそうな顧客に説明して説得するよりも、興味がありそうな顧客を絞ってピンポイントで攻めたほうが効率がよいことになります。ビジネス商材を扱っている事業者の多くが連絡先を集めて電話営業したり、サイトを訪問した人だけにリターゲティング広告をだしたりしているのはこのためです。訴求の内容も「購買者目線でどんなメリットがあるのか」「他の意思決定者を説得するための材料の提示」みたいなものになります。
個人的にはここがとても重要だと考えています。わたしは洗濯機を使えば洗濯の手間がへって便利だということを知っています。やりたいこととそれを解決する手段が広く共有されている状態を、ニーズが顕在化しているといいます。これに対して例えば赤いパンツをはけばめっちゃ健康になることを実証した人がいたとして、もしかするとたくさんの人にとって実は赤いパンツがとても役に立つものであったとしても、まだそのことを認識している人がほとんどいない状態。これをニーズが潜在化しているといいます。ニーズが潜在化している場合、まず試しに使ってもらったり他の人から推薦してもらったりしてニーズを認識しない限り、買ってもらうことはできません。なのでマーケティングのセオリーとしても、潜在顧客に対してはあなた本当はこれが必要なんじゃないですか? とニーズを顕在化するところから始めることになります。キシリトールガムが発売された当初、ガムで虫歯を予防するというニーズは顕在化されていませんでした。メーカーは歯医者さんに働きかけて消費者に虫歯予防の重要性をアピールすることで、キシリトールガムが売れるようになったのは有名な話です。これまで世の中になかった新しいものはニーズが顕在化されていません。だからこういうものですと説明しても、ふーんで終わることがほとんどです。任天堂のWiiも最初からリモコンを振って遊びたいと思う人はいませんでした。だからテレビコマーシャルなどではゲームの画面ではなく、家族が楽しそうにリモコンを使って遊ぶシーンが放送されていました。
知り合いはSEOでうまくいっているのに同じ方法をやってもまったく成果が出ない。なぜだろうとよく考えてみると、向こうは顕在顧客がたくさんいるのに対して、こちらには潜在顧客しかいなかったという例はよくあります。ニーズが顕在化している場合、顧客はどういう顧客をどういうもので解決すればいいかわかっていますから、例えば沖縄でダイビングツアーをやっている業者ならGoogleで「沖縄 ダイビング」で検索したときに上位に表示させることができれば、予約がいくらでも入るでしょう。ですが沖縄で素潜り体験ツアーを専門でやっている業者ならどうでしょうか。そのツアーを申し込んだ人ならだれもが満足するような体験であったとしても、「沖縄 素潜り」のキーワードでSEOをがんばるのはあまりいい手とはいえません。ニーズが潜在化しているので検索する人があまりいないからです。それよりもSNSやオウンドメディアを使って、素潜り体験の素晴らしさをアピールして私もやってみたいな!と思わせる方が効果的です。SEOにしても「沖縄 素潜り」ではなくて、沖縄のきれいな海で素晴らしい体験をしたい人(でもそれが素潜りだとはまだ気付いていない)がどんなキーワードで検索するかを意識してコンテンツを作っていくことになるでしょう。
世の中に売られている商品には、それが役に立つから買うものと、それが好ましいから買うものとがあります。役に立つから買うのはティッシュとかかぜ薬とか、似たような製品があって品質が同じならどれを買ってもいいと思えるものです。これに対して好ましいから買うものというのはフェラーリとかグッチとか、製品の機能とは別のところに特別な価値を感じられる商品がこれにあたります。アップルの製品のように、役に立ちかつブランドそのものに特別な愛着を感じるファンを持つ商品もあります。極端にいえば、役に立つだけの商品というのはおそらくものすごくニッチで競合がいないか、逆にコモディティ化されていて価格で差別化するしかないかでしょうから、広く世の中に知ってもらう必要はなくて価格コムとかアマゾンとかで検討するときにちゃんと候補にでてきて、それなりにいいレビューがついていればまったく問題ありません。反対に好ましさしかない商品は比較検討サイトに出てくる必要はなくて、SNSなどで広く好ましさをアピールできていればよいことになります。ただそういう商品はまれで、多くの商品は椅子でもネイルサロンでもある程度は役に立ち、ある程度は好ましさが求められているものでしょう。それでも「どっちよりの商品なのか」を見定めることで、適切なマーケティングの手段を判断することができます。
ここまで適切なマーケティング手段を選ぶための3つのヒントを紹介させていただきました。ビジネスだからSNSは向いていないとかそういうわけではなくて。ビジネスでもSNSで潜在顧客に情報発信したり、イベントの告知にFacebookを使ったりするのは珍しいことではありません。最後に属性別にマトリクスをまとめてみました。3つの軸から総合的に判断して、自分に合った効果的なメディアとコンテンツを見つけてみてくださいね。
| ニーズ | 役に立つ | 目的 | メディア |
|---|---|---|---|
| 顕在化 | 役に立つ | ピンポイントで購入を促す | 検索広告
SEO 営業 |
| 顕在化 | 好ましい | 関係を築きつつ購入を促す | セミナー、説明会
ニュースリリース メルマガ |
| 潜在化 | 役に立つ | 必要な人にメリットを訴求する | 記事広告
オウンドメディア 展示会 |
| 潜在化 | 好ましい | パートナー企業や顧客と 良い関係を築く |
コミュニティ構築
SNS イベント |
| ニーズ | 役に立つ | 目的 | メディア |
|---|---|---|---|
| 顕在化 | 役に立つ | 探している人に確実に見つけてもらう | 検索広告
SEO ディスプレイ広告 |
| 顕在化 | 好ましい | 好ましさをより強める | SNS SEO イベント |
| 潜在化 | 役に立つ | より多くの人にメリットを伝える | テレビ・電車広告
オウンドメディア 記事広告 |
| 潜在化 | 好ましい | より多くの人に好ましいと思ってもらう | テレビ・電車広告
SNS イベント |