先日、自宅の引越しをしたので、ネット回線も移転しないとなとなりました。わたしはこういう手続きが大嫌いなので、もっとも手っ取り早い方法で移転したいと思いました。最近は電気やガスもネットで引越しできるようになっていますが、サイトがいけてなかったりして結局電話をかけた方が早いこともあります。「フレッツ光 引越し」で検索したら「フレッツ光引越手続きNTT東日本専用窓口」みたいなサイトが出てきたので、そこに書かれてあったフリーダイヤルに電話をかけたわけです。
「はいこちらフレッツ光NTT東日本専用窓口です」
「フレッツ光の引越しをしたいのですが」
「わかりました。ではお客様のお名前と電話番号を教えてください」
「***です」
「ありがとうございます。今のご住所、引越し先の住所を教えてください」
「今の住所が***で、引越し先は***です」
「お客様のお引越し先ではすでに光回線がご利用いただけるようになっています。今よりもお得なプランがありますので、そちらをご案内させていただきます」
わたしは手続きが大嫌いなのでもちろんプランの変更などは望んでいません。
「いや、回線の引越しがしたいだけなんですが」
「お客様にお得なプランがございますので、そちらをおすすめしております」
この時わたしは普段ならぜったいにやらないミスを犯してしまったことに気づきました。
「そちらNTTじゃないんですか?」
「こちらはフレッツ光のNTT東日本専用窓口です」
「NTTじゃないんですね?」
相手が何も答えなかったので、かけるところを間違えましたすみませんといって電話を切りました。相手がNTTではなくて光回線の代理店業者なのは明らかでした。すみませんと謝ったのは本心からです。ほんとにアホですみません。いうまでもなく、検索からわたしがクリックしたのは業者の広告だったのです。代理店業者の悪質な勧誘は以前から問題になっていて、NTTからも注意喚起が出されています。わたし自身も以前どこからか名簿が漏れたのか、光回線の契約を見直しませんかとしつこい電話営業がかかってきたことが何度もありました。
実のところ、広告をクリックしたのはわかっていました。公式サイトが自社ブランドの広告を出すのはそんなに珍しくありません(指名検索広告といって、自社の検索結果を大きく見せられるなどの利点があります)。それでサイトの作りもロゴも一見フレッツ光の公式サイトのように見えたので、完全にNTTだと思い込んでしまったのです(フレッツ光公式のドメインはflets.comだって知ってます?)。わたしはこういう商売をしていますし、まあまあネットリテラシーは高い方だと思っています。「フレッツ光 引越し」で検索したのはこのキーワードでNTTの公式サイトが出てくると思ったからです。なのに時間を無駄に使った上に個人情報までめっちゃ教えてしまったという事実に動揺を隠せませんでした。これでまたフレッツ光を名乗る業者から勧誘電話がバンバンかかってくることでしょう。業者も別に違法なことをしているわけではないので、完全にわたしのミスです。
そうすると、検索結果にそんな紛らわしい広告出してるのが悪いんちゃうのってなるのですが、グーグルでは、ガイドラインで明確に偽造品の広告を禁止しています。
Google 広告では偽造品の販売や宣伝を禁止しています。偽造品とは、他の商標と同一、またはほとんど区別がつかない商標やロゴを使用している商品を指します。真正品と偽って販売するためにブランドの特徴を模倣したものを指します。このポリシーは広告およびウェブサイトやアプリのコンテンツに適用されます。
この業者についてはおそらく実際にフレッツ光を扱っているので、ガイドライン違反にあたらないのかもしれません(タイトルでもサイトでも区別がつかないので個人的にはアウトだと思いますが)。ただブランド名など指名検索が明らかな場合でも公式と見分けがつかないのは改善したほうがよいのではと思いました。
この件で、改めて検索広告ってこういう顧客に向いてるんだなと納得したことがあります。
それは、「やりたいことが明確で、ITの知識があまりない顧客」です。
やりたいことが明確というのは、わたしのようにフレッツ光の回線を引越ししたい、という顧客の明確な目的に対して、「はい、できますよ!」とダイレクトに応えることができるかということです。いわゆるニーズが顕在化しているというやつですね。なんとなくこんな感じのことがやりたいんだけどなあと探している人は比較検討できて信頼性のある情報を求めますから、訴求性の高い広告は敬遠されます。それから今はネットに慣れている人ほど、広告をクリックしてしまって嫌な思いをした経験があるので、広告をクリックする人の多くはネットやITに不慣れな人たちになります。これは広告を出す側としても感じることが多いです。
検索広告は偉大な発明ですし、うちでも度々出稿させていただくことがあります。フレッツ光の広告を出されているのも多くは真っ当な業者なのでしょう。ただ上に書いたように、検索広告をクリックする人の層や属性が、今はかなり限定されるのではという気もしています。ネット広告の市場規模は年々伸びていて、2018年では検索連動広告だけでも5,700億円以上あります。スマホの利用者が増えたからですね。20代、30代でスマホの普及率は90%を超えていますから、広告が飽和している状態ともいえます。誰も広告をクリックしてくれなくなると困る人が大勢いるので、全体としては規制やテクノロジーによって安心して広告がクリックできる世界を目指すことになるのでしょう。
その日が来るまで、光回線の勧誘電話がかかってこないことを祈っています。