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サラリーマンがあまり知らない起業にまつわるお金のこと

サラリーマンがあまり知らない起業にまつわるお金のこと

テレビでたまに、サラリーマンが会社を辞めて鎌倉や逗子あたりでスローライフ的な生活はじめましたみたいな番組をやっています。どうやってお金を稼いでいるのかなと思ったら、革細工職人かなんかを始めて、手作りの革財布が近所で評判ですみたいなことをいっていました。本当にそれで生計が成り立つのかなと思ってしまったのですが、もしかしたらサラリーマン時代の蓄えがものすごい額あるのかもしれないし、株や不動産などの副収入がある人なのかもしれません。普通の人は、革細工職人になって鎌倉で何不自由なく暮らすには経済的なハードルが相当高いように思いますが、テレビで特集するのは、そういう生活に憧れる人が多いのかもしれません。

鎌倉で革細工職人として暮らすのはなかなか難しいけれど、手始めに副業でもいいから会社を作って独立してみようかという人もそれなりにいることでしょう。今回は起業にまつわる、普段サラリーマンがあまり意識することのないお金のことを書いてみたいと思います。起業そのものに関するお金(資本金など)のことでなく、あくまでもわたしの主観で、え、そんな決まりなの?と思ったことを書きます。

社長の給料は1年間変えられない

役員の給与は役員報酬という名前がついていて、株主総会で決定する必要があります。ひとりしかない会社であってもいついつどこどこで株主総会を開きました。社長の報酬はいくらに決定しましたという議事録を作って捺印し、保管しておかないといけません。一度役員報酬を決めると、次の年の株主総会までは同じ金額になります。今月は儲かったから給料倍にしよう!みたいなことはできません(やっても損金にならないので、税金でほとんど持っていかれます)。このあとに書くように役員報酬を上げると社会保険料が重くのしかかってきますから、最初のうちは金額を下げるモチベーションが働くと思います。わたしは一時期サラリーマン時代の半分以下まで下げてしまったので、賃貸の審査に落ちてしまったことがあります。あのときは本気でホームレスになるかと思いました。ローンを組む予定がある人などは慎重に金額を決めてください。

社会保険は意外と高い

法人を設立すると、厚生年金に加入することが義務付けられます。厚生年金と健康保険はセットなので、通常は協会けんぽという保険協会に加入することになります。厚生年金と健康保険とで合わせて、だいたいお給料の30%を納入する必要があります。その金額を、会社と個人とで折半します。会社に勤めていると折半した額しか見えないので、給料を50万円もらっている人なら7万5千円くらいが社会保険料として給与明細に書かれていて、それでも高いなあと思うかもしれませんが、実際はその倍の15万円を納める必要があります。年間で180万円です。もちろん住民税と所得税なども別に持っていかれます。個人経営だと会社のお金は自分が生き延びるためのHPみたいなものなので、最初知ったときはなかなか受け入れられない現実でした。ちなみに副業の場合でも、週に20時間以上働く場合は社会保険に加入しないといけないので、本業の会社と両方で社会保険に加入しないといけないそうです。

消費税の免税事業者というのがある

年間の売上が1千万円以下の事業者は、免税事業者といって、消費税を納める必要がありません。今消費税は10%なので、1千万円を1円でも超えると100万円納税しないといけません。これはなかなかの負担になるでしょう。なので個人事業のお店などでは、あえて売上を1千万円以内にしているところも多いのではないかと思います。ここにメスを入れるために、2年後の令和5年からインボイス制度というものが始まることになっていて、取引先の会社(課税事業者)から求められたらインボイスという書類(請求書みたいなもの)を提出しなさいよーという決まりになりますが、免税事業者はインボイスを発行することができません。うちは免税事業なのでごめんなさい出せないですとなると、ふうんじゃあ取引やめるわと言われてしまいます。

この制度によって、起業したばかりで売上がなかろうが関係なく、消費税払えないやつは商売する資格なしの世界になります。社会保険にしても、10年ほど前までは、加入を4、5年は先延ばしさせてくれていたと聞きます。なかなか小さいところから事業を立ち上げるのは難しい社会になりつつあるのではと感じます。

ソフトウェア開発費が資産になる

これはなんのこっちゃと思うかもしれませんが、今会社を立ち上げるという人は、なんらかネットを使ったサービスを提供することが多いでしょうから書いておきます。例えば起業して最初の年に1千万円かけてネットを使ったシステムを開発して、500万円売上げがあったとします。他の経費は無視するとすると、単純に考えて500万円の赤字です。ところがこのシステム開発にかかった1千万円は資産として扱われますから、5年の減価償却となり、その年は200万円しか払ったことになりません。つまり300万円の利益がでていることになり、その分の法人税を納めないといけません。このルールは立ち上げ期の事業のキャッシュフローにとって痛手となり、こちらの記事でも批判されています。

さらに謎なのは、販売目的のソフトウェアの開発費は通常、リリースされるまでは研究開発費として全額費用計上できるのに、ネットを使ったサービスの場合はそのものを販売するわけではないので、なぜか「自社利用ソフトウェア」という位置づけになっているのです。このあたりは解釈によって扱いが違う企業もあるそうなので、速やかにデジタル庁さんに法律を整備してほしいところです。

法人税は半分前払いしないといけない

会社に利益が出ると法人税を納めます。これはまあいいのですが、法人税として納めた額の半額を、半年後にもう一度持っていかれます。なんぞそれと思われるかもしれませんが、これは要するに「お前はどうせ来年もこれくらい払うんだから、オレが半分先にもらっといてやるよ」というジャイアン的な考えのもとに徴収されています。もちろん利益がでなければ差額はあとで戻ってくるのですが、なんか釈然としないのはわたしだけでしょうか。

できるだけ、自分が起業してみてはじめて知ったこと、驚いたことをまとめてみました。これから独立される方の参考になれば幸いです。

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