今回はファンマーケティングにオススメの本を紹介してみたいと思います。書いた人も出版された国もさまざまですが、共通して感じるのが、「ものを買うという行為ってここ数年でずいぶん変わってきているよね」ということ。読んですぐに実践できそうなものもあれば、けっこう刺激的な内容で受け入れる勇気が必要なものもあります。
シェアする美術
森美術館のSNS運用の取り組みについて、丁寧に紹介されている本です。わたしもツイッターで森美術館のアカウントをフォローしていますが、広告的な投稿もキャンペーンもなく、基本的な情報が繰り返しツイートされています。SNSマーケティングというと炎上を狙ってみたりフォロワーをどれくらい獲得するかが目的となりがちですが、お客様が必要としている情報を淡々と伝えることの重要さが説かれています。そう聞くとともすれば単調な内容になってしまいがちですが、押し付けのない投稿の裏には、計画を立てて緻密に練られたマーケティング戦略が隠されています。SNSの運用について考えさせられる一冊。
人を動かす新たな3原則
モチベーション3.0で有名なダニエル・ピンクが、セールスをテーマに書いた本です。フリーランスや起業家が増加し、多様化によりスキルの弾力性が求められるようになったことによって、働く人の大半が図らずも「セールス」に関わる仕事をしているといいます。かつては、強引で不誠実、外向的で抜け目ないといったイメージの「セールスマン」が顧客が情報を持たない自分にとって有利な状況(情報の非対称性)を武器にセールスを行いましたが、インターネットやスマートフォンの普及によって世界は変わりました。情報の非対称性は解消され、売り手よりも買い手が有利になった今やるべき、「売らない」セールスの原則について説明されています。後半は原則に沿ったセールスのテクニックが紹介されていて、当然ながら顧客と話をしないことを推奨する内容ではありません。 もう歯が真っ白で日焼けした関西弁のセールスマンを雇わなくてもいいのだと思えるだけでも読む価値はあります。
ウソはバレる
モノが溢れた時代にはブランディングが大事とさんざん聞かされてきました。マーケティングとは顧客をセグメント化して、ターゲティングし、ポジショニングするものだと。この本はマーケティングの定説を根本から覆します。今までアップルの製品を買って後悔したことはない。だから次もアップルの製品を買う。これは相対価値です。全ての製品やサービスの価値は過去のものさしによって相対的に得られるものであると。ところが広告やセールスマンの言葉よりもアマゾンのレビューやツイッターでの評判が信用される現代では、製品そのものの絶対価値に重きが置かれるようになります。この世界ではもはやキャズムやブランドなどというものは存在しません。ちょっと行き過ぎた世界観のようにも思えますがウソはバレるというタイトルには共感します。「ブランディングの科学」と合わせて読むとさらに新しい視点が得られるかもしれません。
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
ターゲットは30代男性で乾燥肌。妻と2歳の娘と2LDKに暮らし休日はゴルフ。週に一度のマーケティングの会議ではそんなユーザー像がさも重要なことのように語られます。ジョブ理論で書かれていることはもっとシンプルです。朝顧客がミルクシェイクを買う理由は、通勤時間の空腹を満たすというジョブを片付けたいからであって、顧客そのものが問題ではないのだと。ジョブを見極め、本質を明らかにするのは数字でなくストーリーであるといいます。会議でデータや数字は説得力を持ちますが、それが意味をなさないものだとしたらマーケターの役割とはなんなのか、考え直す必要があるかもしれません。有名な本なので読まれた方もいらっしゃるでしょう。
新規の顧客をゼロから育てるマーケティング
これも購買時の意思決定が「売る」から「買う」に変わっていることに着目して、顧客と長く関係を築くために実践すべきことが紹介されています。日本人の著者により具体的な事例や集客方法が紹介されているのでとっつきやすく、内容もそれほど分厚くないので他に紹介したものと比べて読みやすいと思います。
トラクション ―スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル
事業を始めてみると、今まで何気なく見ていたものが「これってマーケティングだったんだな」と気づくことがあります。これはスタートアップ向けではあるのですが、そういった集客のための手法が網羅されているので、フリーランスや個人事業でも参考になると思います。ざっと挙げると、SNS、SEO、コンテンツマーケティング、展示会、ディスプレイ広告、メルマガ、コミュニティ運営などなど。わたしはあんまりスタートアップ向けのグロースハック系の本が参考になったことはないのですが、この本は集客チャネルのまとめとして重宝するのはもちろん、「銀の弾丸はない。自分のビジネスにあったチャネルを自分で見つけてそこに注力しろ」とちょっと突き放したところがあって好感を持てます。あとわたしはこの本を見つけた時、日本語版がちょうど売り切れていたので英語版をkindleで読んだのですが、平坦な英語で難なく読めました。気になった手法が書かれた章だけを読むだけで充分なので、英語版もオススメです。
以上、みなさまもオススメの本があればコメントやツイッターなどで教えてください😀