これからのSEO(検索エンジン対策)はコンテンツが大事だよとよくいわれます。なぜコンテンツが大事かというと、AI(人工知能)が順位を決めるからだと。それを聞いて多くの人は感心します。ほほう、人工知能とはすごい。ていうか今までもずっと人工知能だと思ってたわ。でそれだとタイトルを何文字くらいにしたら順位が上がるんですか?
AI関連の技術はここ数年で飛躍的に進歩しました。グーグルが自動運転車のプロトタイプを発表したのが2014年、やはりグーグルのAIが初めて囲碁でプロ棋士に勝ったのが2015年、そしてグーグルが検索の順位を決めるしくみに、ランクブレインというAIを導入したのも2015年です。これ以降、日本でもなんやかんやとAIを持ち上げて騒ぎだす人が大勢現れました。そして光るスピーカーにテレビをつけろとか音楽をかけろとか話しかけるのが流行りました。
その前後でAIというものがどう変わったか、イケメンのコンテストを例に説明してみます。全国からたくさんのイケメンが集まって審査員が順位を決めます。ポリコレの観点からかどうかわかりませんが、審査員は人間じゃなくて機械がやっています。機械はそもそもどういうのがイケメンなのかわかっていないので、とりあえず人間があらかじめ、背の高いのがイケメンだとか、眉毛が細いのがイケメンだとか教えます。髪が長いのもイケメンかもしれないけど女性かもしれないから気をつけろみたいなことも教えます。そこで機械は、はい背が180センチだから10点プラスとかいうふうに点数をつけます。でも次第に審査基準がバレて、とにかく背が高いやつとか、とにかく眉が細いやつばかりが送り込まれて、上位入賞することになります。実際ぜんぜんイケメンじゃないので、見に来た客は怒ります。
仕方がないので、どういうのがイケメンなのか機械自身に見てもらおうということなりました。メンズの写真を100万枚集めて、実行委員(人間)がこいつはイケメンだと思うのを100人選びました。それで機械はなんやかんやとその100万人のメンズデータを解析して、イケメンとイケメンじゃない男の違いはどういうところにあるのか、どういう特徴があればイケメンなのかを「自分で」学びました。最後に実行委員長が、「俺はイケメンか?」と尋ねました。機械は「イケメンではない」と答えました。この瞬間、機械はAI(人工知能)と認められました。
旧来のものと決定的に違うのは、どういう人がイケメンなのか「人間が教えたわけではない」ことです。なので人間はなぜAIがイケメンだと判断したのか知りません。なぜあいつが1位なのかとAIに尋ねても、さあわりと小顔だし、なんとなくディーンフジオカにも似てるかなって、みたいなことしかわかりません。ときどき、やはりイケメンじゃない人が上位にくることもあるので、こっそりこの人は違うよと教えます。どういうところがイケメンではないかをいう必要はありません。AIはああそうかといって次から審査結果を修正します。
かなり大雑把なたとえですが、検索でウェブサイトの順位が決まるしくみもこれに近いものになりました。単純に文章が多いとかキーワードがたくさん入っているとかではなく、人が見てああこれは役に立つなと思えるサイトが評価されるようになりました。最近よく、ユーザーの利便性を考えてサイトを作りましょうとか、コンテンツの質を上げましょうとかいわれているのはこのためです。ただここで「そうか質の高いサイトを作れば検索順位が上がるのだな、ではそうしよう」と考えてしまうと、本末転倒といいますか、やっぱりグーグル検索に強い質の高いサイトとは何かを追求していく動きになってしまうわけです。そうするとあちらがAIならこちらもAIでサイトを作ろうかみたいなことにもなりかねません。実際最近はグーグルから良いコンテンツだと思われるように作られたであろう内容が薄いアフィリエイト系のブログをたくさん見かけます。検索順位が上がるのは結構ですしSEOも意識はしてもらいたいのですが、結局SEOだけを目的にしたコンテンツというのは人の目から見るとやっぱりあざとい感じが拭えず、せっかく訪れたユーザーも離れてしまいます。そうするとAIも学習して長い目で見るとSEO的にも良い結果にはなりません。また集客をSEOだけに頼るのもリスクがあります。このブログは長期的にお客様と良い関係を築くことがテーマなので、検索結果に一喜一憂するのではなくて、AIのおかげで難しいSEOとか考えなくてもよくなったんだとシンプルに捉えて、お客様の役に立つ記事を書いたり面白いイベントを企画したりすることに注力していただければと思います。
現在は検索だけでなく、広告にもAIが使われるようになりました。これについても、どういうメリットがあるのかや注意点について今後紹介できればと思います。