フリーランスになったばかりでこれから名刺を作ろうという方もいるのではないかと思います。会社に勤めていた時は、取引先の相手以外と名刺交換する機会はあまりなかったかもしれません。たまに名刺交換することがあっても、そういう場合はたいてい、相手は初めから自分のことをある程度どんな素性の人間か知っています。名刺をもらっても、ああ〇〇株式会社の××さんですねと確認するくらいだったと思います。ところが自分でビジネスを始めると、名刺を渡す相手は大抵、素性も知らない見ず知らずの人ばかりになります。相手も当然自分のことなど何も知りません。そればかりか、名刺を渡したとしても相手はこちらの屋号もできたばかりの会社のことも知りませんから、何をしている人ですか? となるわけです。今までだったらあのホゲホゲ商事の課長さんですか、いつもお世話になっておりますみたいな会話から始まるところですが、ん? フリーデザイナーのナカムラさん? ほう、みたいな気まずいところから会話を始めないといけなくなるのです。同窓会の名刺じゃんけんでは最弱です。
交流会などで名刺渡したけど結局あなた誰でしたっけという状態ににならないように、名刺には何かしら会話のフックになるようなものが必要です。聞いたことのない会社の代表取締役やCEOという肩書きには誰も興味を持ってはくれません。自分たちがやっている製品やサービスが一目でわかるようなキャッチコピーでもいいし、変わった肩書きでもいいので、相手に覚えてもらうきっかけになるようなものを入れましょう。なければネコ耳エバンジェリストとかなんでもいいので、今から世の中に広めたいものの伝道師になりましょう。名刺を渡すたびに所在地のことを聞かれるのは珍しいからではなくて単に他に話すことがないからです。
ときどき、正方形など変わった形の名刺や、透明な名刺、折りたたみ式などの名刺などをいただくことがあります。これも確かに変わった形の名刺ですねえ、どこで作ったんですかみたいに会話のきっかけにはなります。そして名刺入れの中でも目立つので、覚えてもらいやすいことを狙ったものでもあるのでしょう。ところがこういった名刺は致命的な欠点があって、わたしはよっぽど気に入った人でない限り、ほとんどはそのまま捨ててしまっています。
それはスキャンできないからです。名刺って以外とかさばるものなので、名刺管理サービスを使ってデータ化している人も多いと思います。わたしももらった名刺はとりあえずEightでスキャンしておいて、紙の名刺は1年以上前にもらったものは破棄するようにしています。ところが中には形状や材質が特殊だったりして、スキャンできないものがあります。それから連絡先が表裏にまたがっているようなものも、両面スキャンするのが面倒なので表面しかスキャンしていません。だからあまり奇をてらった名刺はデータ化には不向きな場合が多いのです。最初だし人が持っていない珍しい名刺をと意気込む気持ちはわかりますが、名刺はスキャンしてデータ化されるものということは覚えておいたほうがよいです。同じ理由で変わったフォントや読みにくいフォントを使ったり、文字が小さすぎるものもスキャンに適していません。いってしまえば、データ化してしまえば文字データ以外はなんでも同じなのです。名刺は会話のきっかけ、あとはデータ化されるものと割り切ってしまうことをおすすめします。
日本では、LINEを普段使っているユーザーは7800万人くらいいて、ツイッターは4500万人、Facebookは2800万人くらいなのだそうです。もうFacebookはおじさんしか使ってないんじゃないかという印象があります。わたしのような自営のおじさんの習性としては、知り合った人とはFacebookで友達になって、メールでなくFacebookのメッセンジャーでやりとりをするのが一般的です。会社勤めだとまだメールがやりとりすることが多いかもしれませんが、自営のおじさんは公私の区別があまりないので、もっぱらFacebookでのやりとりになります。Facebookでないと連絡が取れない人も多いです。タイムラインには仕事で一回しか会ったことのない人たちの日常が遠慮なく流れてくるので、普通の友達の近況などは埋もれてしまいます。そういうのにちょっとうんざりしてFacebookを見るのをやめてしまった人も周りに何人かいます。
本当はビジネスソーシャルというのはLinkedInとかEightとかがやりたかったことだと思うのですが、その役割はもうしっかりFacebookが担ってしまったので、今からごっそり乗り換えるというのは難しいのではないかと思います。じゃあもう名刺とか作るのやめてぜんぶFacebookでいいじゃないかという意見もあるかもしれません。やってみるとわかりますがいちいちスマホを出してええとお名前どんな漢字でしたっけ、出てこない? このアイコンの人? みたいなやりとりを全員とするのは苦痛だったりします。紙の手帳がなくならないのと同様に、紙の名刺もしばらくはなくならない(けど単にPRとQRコードが載ってるだけとかになるかもしれない)のではと思います。
Facebookも今はプライバシーに配慮したよりクローズドなサービスへと方針転換を進めているらしいです。具体的にどんなものになるかわかりませんが、Facebookがないと仕事のやりとりができないぜおじさんとしては、今後の展開がきになるところです。