今回はお金の話です。
あなたはひとりで火星にいるとします。食料などの備蓄は1年分しかありません。次に地球から迎えが来るのは4年後です。普通にガバガバ水を飲み、燃料を消費していたら1年以内に確実に死を迎えます。試行錯誤の末に、あなたはついに火星でジャガイモを栽培する方法を思いつきました。しかしジャガイモを育てるには大量の水が必要です。いちかばちか、あなたは喉が渇くのを我慢して畑に水を投入しました。ジャガイモが無事に育つ保証はどこにもありませんが、どのみち何もしなければ死ぬのだから選択肢は他にありません。この話と同じようにどんな商売であれ、突き詰めると限りあるお金を、限りある時間の中で増やす行為であるといえます。
最初からたくさんお金を持って起業する人もいれば、数十万円で始めるという人もいます。資金は多いに越したことはありませんが、きっと1億円を持って商売を始める人は2年でそのお金を倍にしたいと思うのでしょう。それなりのオフィスを構えて従業員を何人も雇ったとしたら、2年以内に簡単に1億円を使いきってしまいます。だからまだ軌道に乗っていない事業をやっているのなら、お金は自分たちのために使うのではなく、売り上げを上げるために使う必要があります。お金がないから支出を減らすのではなくて、「お金を増やすために」支出を減らすのです。
収入をコントロールすることはとても難しいです。得意先の担当者が変わるかもしれないし、予定していたサービスのリリースが遅れるかもしれません。補助金がおりないかもしれません。これに比べると支出をコントロールするのは簡単で、かつ即効性があります。
クローバが起業した時の資本金は300万円だったのですが、最初の2年間はほぼ全てのリソースをクローバ PAGE の開発に費やしていたため、収入がほとんどありませんでした。なので支出はギリギリまで切り詰めざるを得なかったのですが、当時を振り返りながら、事業を始めたばかりの頃にどうすれば支出を減らすことができるか考えてみたいと思います。
メール
連絡用に必要なので、メールは登記前に用意しました。ドメインはもっと前に候補も含めていくつか取得してありました。今はメールだけだとさくらインターネットで年間1,000円とかでメールが使えるようになります。コスト重視ならそういうのでぜんぜん問題ないと思います。うちは今後長く使っていくことを考えて、G Suiteにしました。ユーザーあたり600円/月くらいになりますが、メール以外にファイル管理なども使えるし最初はユーザーふたりとかなのでコスパはとても良いです。迷惑メールのフィルタが超強力なのと、やっぱりクラウドサービス全体の品質はずば抜けています。
会社登記
いきなり節約になってないのですが、うちは司法書士さんにお願いして定款の認証と登記をやってもらいました。ここは自分でやってもあまり変わらないと聞きますし、一度しかやらないのであまり覚えても意味ないかなと。事前に会社登記セットみたいなの(代表印、銀行印と角印)が楽天とかに売っているので、購入しておきましょう。わたしが買ったのは8,000円くらいでした。
ホームページ
登記がすんだらホームページです。え、ホームページなんか後で作ればいいんじゃないの?って思ったかもしれません。ところがホームページは必要なのです。なぜかというと銀行の口座を作るときにホームページがないとダメだというところが結構あるからです。WordpressやWixもいいですがここはやっぱりクローバ PAGE で作ってもらえるとうれしいです☺️。大事なのは「最初は自分で作ったので十分」ということです。まともにホームページの制作を業者に頼むと数十万から数百万かかります。ECのサービスを立ち上げるわけでもなければそんな立派なホームページは必要ありません。わたしが創業した時は当然クローバ PAGE を作る前だったので、さくらインターネットのレンタルサーバーに自分でHTMLを書いて済ませました。そのサイトを印刷して、銀行に持っていきました。クローバ PAGE を使っていただけるとホームページを作った後も、ブログを書いたりイベントを開催したりして集客のお手伝いができます。ぜひお試しください。
税理士
わたしは知り合いから今の税理士さんを紹介していただいたので、お願いすることにしました。たまたま信頼の置けるかたに格安でやっていただけたので幸運でしたが、そうでなければFreeeなどを使って自分でやっていたと思います。どちらもメリットデメリットあると思いますが、税金面で色々アドバイスをいただけたので創業当時はとても助かりました。
名刺、チラシ
ネットで印刷してもらえるところが今はたくさんあります。イラストレーターのデータ形式で送らないといけないところが多いですが、ラクスルなどワードやパワーポイントのデータを受け付けてくれるところもあります。ラクスルはブラウザでデザインすることもできるので、個人事業の方など周囲に使っている方は多いです。うちは名刺は何社かのサービスを使ったことがありますが、今はライオン名刺さんにお願いしています。チラシはプリントネットを使っています。ステッカーはDIGITAで作りました。好みがあると思うので最初はいろんなサービスを試してみるとよいと思います。
社会保険
法人になると社会保険に加入しないといけません。これがめちゃめちゃ負担が重くて、給与の約30%が社会保険料として持っていかれます。会社負担15%、個人負担15%とはなっていますが、実際は小さい事業ではほとんど区別がないでしょうから、給料を30万円としたら9万円の社会保険料を払わないといけません。この負担を少しでも減らすにはどうするかというと、給与や役員報酬を少なくするしかありません。あまり少なくして利益が出ると今度は法人税で持っていかれます。利益なんか出ないだろうと思うかもしれませんが、ウェブサービスでビジネスを始めようという人は注意が必要です。ソフトウェアの開発人件費は資産計上されるので、開発に1,000万円かけたとしても最初の年は200万円しか経費にできません。なのでサービスの開発を行っている時期は利益が出やすいということは覚えておいたほうがいいと思います。あと役員報酬は一度決めると1年間は変更できないので、1年後の状況を考えて慎重に決めたほうがいいです。
広告
はじめの頃はとにかく事業を軌道に乗せたいですから、やみくもに広告を出せば良いと思いがちです。以前も書きましたが最初の頃広告を出しても効果がない場合がほとんどです。うちもいくつか広告を出しましたが、どれも大した効果はありませんでした。ただ今後のことを考えてマーケティングの検証のために少額の広告を打つのは悪くありません。それ以外はPR TIMESなどでプレスリリースを打つくらいで十分だったなと感じます。
事務所
最初の一年はコワーキングスペースを使う費用すら節約したかったので、知り合いの会社の事務所に居候させてもらっていました。バーチャルオフィスのような登記ができて郵便物を受け取ってくれるところもたくさんあるので、集まって仕事をする場所が必要なければそういうのを使うとよいでしょう。
ITシステム
今はどんなビジネスも集客や販売にスマホを使うのが当たり前なので、自社専用のシステムやアプリを作りたいと思うかもしれません。システムの開発はわたしの専門でいいたいことがたくさんあるので詳細は改めて別の記事に書こうと思いますが、エンジニアを雇って内製するのでなければ、一から自社開発のシステムを作るのは諦めるべきです。システムを外注した場合、どんなにしょぼいシステムでも最低300万はかかります。そしてそのシステムはスマホでは使えないかもしれないし、週に一回誰かが再起動しないといけないかもしれません。逆にいえば、もしそのシステムやアプリこそがビジネスのコアになるものだとしたら、なんとかして優れたエンジニアを雇って内製しないといけません。そうでないなら、すでに世の中にあるシステムやサービスを使ってやりたいことができないか考えてみましょう。ネットショップならshopifyでできないか、顧客管理ならkintoneでできないか、イベント予約ならクローバ PAGEでできないかを考えてみましょう。外注するとしても、一から作ることを勧めてくるところではなく、様々なクラウドサービスに知見のあるベンダーを選びましょう。
ビジネスオーディション・補助金
地域のビジネスオーディションに出場して入賞すると賞金や経営サポートなどのメリット受けられます。中小企業向けの助成金を受ける方もいると思うのですが、地域のビジネスオーディションの受賞歴があると申請が認められやすいと聞きます。難点として、準備にそれなりに時間と手間がかかります。
商標
最後に節約しないほうがいい例として、商標があります。最初の頃はお金ももったいないし商標は取らなくてもいいやと考えがちですが、事業を始めてさあこれから軌道に乗っていくというときに、商標の問題で自分たちのサービスや製品の名前が使えない、ということがありえます。インパクトがかなり大きいので商標は早めに取っておくことをおすすめします。
支出を抑える工夫について考えてみました。最初はなんでもお金を払って解決するのではなく、まず自分でできないかと考えることが大事かなと思います。経理でもチラシのデザインでも商標でも、自分で色々試してやってみることで、今後人に頼んむ上でも役に立つことがあります。
ファンマーケティングとあまり関係のない話でしたが、顧客と長く良い関係を保つには、自分たちの事業が成り立っていることが前提だと思います。事業というのはお金がなくなったらそこで終了なので体に例えるなら血のようなものですが、何もしなくてもみるみる出血していくので気がついたら出血多量ということにもなりかねません。お気をつけください。